「1ずらす」パターンのまとめ
確率論の講義で、平均や分散を求めるときに 「指数や添え字を1ずらして整理する」 という処理が何度も出てくる。これは離散でも連続でも同じ原理で使われている。
離散型:二項分布(6/19)
平均 E[X] の計算
E[X]=x=0∑nx⋅x!(n−x)!n!px(1−p)n−x=x=1∑n(x−1)!(n−x)!n!px(1−p)n−x(x=0の項は0なので省略、x/x!=1/(x−1)!)=npx=1∑n(x−1)!{(n−1)−(x−1)}!(n−1)!px−1(1−p)(n−1)−(x−1)(n!=n(n−1)!,px=ppx−1)=np⋅(p+(1−p))n−1=np
ポイント:x!x=(x−1)!1 と約分することで、シグマの添え字が x→x−1 にずれる。すると中身が「n−1回の二項分布の全確率の和=1」になる。
E[X(X−1)] の計算
E[X(X−1)]=x=2∑nx!(n−x)!x(x−1)n!px(1−p)n−x(x=0,1はx(x−1)=0なので省略)=x=2∑n(x−2)!(n−x)!n!px(1−p)n−x(x(x−1)/x!=1/(x−2)!)=n(n−1)p2
ポイント:x!x(x−1)=(x−2)!1 で 2つずらす。すると「n−2回の二項分布」が現れる。
共通のテクニック
| 操作 | 結果 |
|---|
| x/x!=1/(x−1)! | 添え字が1つずれる → n−1 の問題に帰着 |
| x(x−1)/x!=1/(x−2)! | 添え字が2つずれる → n−2 の問題に帰着 |
| 外に出した n,p は「元の分布のパラメータを消費」 | |
離散型:幾何分布(6/26)
平均 E[X] の計算
E[X]=x=1∑∞x⋅(1−p)x−1⋅p
x(1−p)x−1 は等比級数 ∑(1−p)x の微分に相当:
d(1−p)dx=0∑∞(1−p)x=x=1∑∞x(1−p)x−1
ポイント:冪乗を1つ減らす(=微分する)ことで、既知の級数の公式に持ち込む。これも「1ずらす」の一種。
連続型:指数分布(7/3)
平均 E[X] の計算
E[X]=∫0∞x⋅λe−λxdx
部分積分で x を消すと、指数が1上がる:
=[−xe−λx]0∞+λ1∫0∞λe−λxdx=λ1
モーメント母関数から
MX(t)=λ−tλ⇒MX′(t)=(λ−t)2λ⇒MX′′(t)=(λ−t)32λ
ポイント:微分するたびに分母の指数が1上がる(1→2→3)。t=0 を代入すると λ−(指数) になる。
連続型:ガンマ分布(7/3)
平均 E[X] の計算
E[X]=∫0∞x⋅Γ(α)βαxα−1e−x/βdx=Γ(α)βα1∫0∞xαe−x/βdx
x⋅xα−1=xα で指数が1上がる。置換積分でガンマ関数の形にすると:
=Γ(α)βαβα+1Γ(α+1)=Γ(α)βΓ(α+1)
ここで Γ(α+1)=αΓ(α) で1段階下げて整理:
=Γ(α)β⋅αΓ(α)=αβ
k 次モーメント
E[Xk]=Γ(α)Γ(α+k)βk
ポイント:xk を掛ける → 指数が k 上がる → Γ(α+k) になる → Γ(α+1)=αΓ(α) を k 回繰り返して下げる。
なぜこのパターンが普遍的なのか
「冪乗を掛ける」=「指数を1上げる」=「ガンマ関数で1段階上の階乗を使う」
| 処理 | 離散(和) | 連続(積分) |
|---|
| 冪乗を1つ減らす | x/x!=1/(x−1)! → 添え字ずれ | 部分積分 → 指数が上がる |
| 既知の形に持ち込む | 全確率の和=1 或いは等比級数 | ガンマ関数の全確率=1 |
| 整理する | 二項係数を再構成 | Γ(α+1)=αΓ(α) |
テストで使うときの-checklist
- 平均を求める → x(或いは xk)を掛けて指数を上げる
- ガンマ関数の形に変形する(置換積分 or 級数の公式)
- Γ(α+1)=αΓ(α) で known な形に戻す
- 全確率=1 や二項定理を利用して最終計算