オペアンプ
-
数十個のトランジスタと抵抗、コンデンサでできている
- 増幅
- 演算
- バッファやフィルタ
-
作動増幅率が理想的には無限大
-
入力インピーダンスも理想的には非常に大きい
-
出力インピーダンスが小さい
-
広い周波数域をカバー
-
入力端子間の電圧差はゼロ
-
オペアンプに流入する電流はゼロ
オペアンプは入力の差分をとる
- 入力インピーダンスが大きいので前段回路から電圧の情報だけをとる
741dを例に
足は8本
- 2番ピン: IN+ (非反転入力) → 入力信号を加える
- 3番ピン: IN- (反転入力) → フィードバックを繋ぐ
- 4番ピン: V- (負電源) → -15Vなど
- 7番ピン: V+ (正電源) → +15Vなど
- 6番ピン: OUT (出力) → 増幅された信号が出る
実際の端子と等価回路
- 記号の「-」は反転入力端子、「+」は非反転入力端子を表す
- これらは差動電圧 の極性基準でもある
- 「-」端子とアース端子間に電圧 を加えると、出力電圧は逆位相
- 「+」端子に電圧 を加えると、同位相出力を生む
基本関係式:
- 出力電圧:
- 差動増幅度:(100dB)
- 入力インピーダンス:
- 出力インピーダンス:
等価回路のポイント:
- オペアンプはそれぞれの電圧をそのまま増幅するのではなく、2つの入力の引き算(差分)だけを見ている
- (入力インピーダンス)が無限大 → 前段回路から電流をまったく吸い込まず、電圧の情報だけにキャッチできる
- (出力インピーダンス)がゼロ → 後ろにどんな機器が繋がれても、作り出した電圧 をロスすることなく100%外へ送り出せる
周波数特性とゲイン帯域幅積
オペアンプは直流信号の増幅が可能だが、正弦波交流信号に対しては次のような周波数特性をもつ。
ゲイン帯域幅積 GBW
増幅率 × 帯域幅 = 一定(741オペアンプの場合:GBW ≈ 1MHz)
例:100倍増幅なら帯域幅10kHzまで、10倍増幅なら100kHzまで
多目的アンプとしての使用:
- 負帰還によって増幅率(ゲイン)を犠牲にし、fc を増加させて使用する
- 外付け抵抗を使って倍率をあえて固定して使う
| 増幅率 | 帯域幅 | 用途例 |
|---|---|---|
| 1000倍 | 1kHz | 低周波増幅 |
| 100倍 | 10kHz | 音声増幅 |
| 10倍 | 100kHz | 高周波増幅 |
| 1倍 | 1MHz | バッファ回路 |
実際の使い方
オペアンプは「高増幅率 × 窄帯域」か「低増幅率 × 広帯域」かを用途に合わせて選ぶ。
音声増幅なら100倍(10kHzまで)、映像信号なら10倍(100kHzまで)などが一般的。
負帰還増幅回路
** Variables の説明:**
| 変数 | 意味 | 備考 |
|---|---|---|
| オペアンプの開ループゲイン | 電圧増幅度(741では約10万倍) | |
| 帰還率(フィードバック率) | 実際の回路では抵抗で決まる | |
| 入力電圧 | 信号源からの入力 | |
| オペアンプへの入力電圧 | ||
| 出力電圧 | 増幅された出力 |
負帰還増幅回路の流れ:
graph LR A[入力 Vs] --> B[引き算<br/>Vi = Vs - βf·Vo] B --> C[増幅<br/>Vo = K·Vi] C --> D[出力 Vo] D --> E[フィードバック<br/>βf·Vo] E --> B style A fill:#e6ffe6 style B fill:#fff3e6 style C fill:#ffe6e6 style D fill:#e6ffe6 style E fill:#e6e6ff
- 出力のサンプリング:出力電圧 の一部をフィードバック
- フィードバックの計算: という大きさに調整
- 引き算:(入力からフィードバック信号を引く)
- 増幅:(オペアンプで増幅)
クローズドループゲイン:
負帰還の威力
のとき:
増幅率はオペアンプの特性()によらず、帰還回路の抵抗比だけで決まる。
安定した増幅率を実現できる。
実際の回路例:
- 反転増幅器:
- 非反転増幅器:
なぜ負帰還が重要なのか
オペアンプの は温度や電源電圧で変動するが、負帰還をかけることで
増幅率を外付け抵抗だけに頼り、安定した回路を構成できる。
閉ループゲインとループゲイン:
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 閉ループゲイン() | |
| 開ループゲイン(電圧増幅度) | |
| ループゲイン |
のとき:
Negative Feedback
増幅器のゲインが帰還回路だけで決まり、安定になる。これを**負帰還(Negative Feed Back)**という。
負帰還が及ぼす効果:
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| 周波数帯域幅 | 増加 |
| 閉ループゲイン・ひずみ・雑音 | 減少 |
| 入出力インピーダンス | 帰還方式により増減(理想回路ならループゲインの大きさ程度) |
入力は情報だけ、出力の電力は電源から
理想的なオペアンプでは入力インピーダンスが無限大なので、入力端子に電流は流れない。
- 入力信号から受け取るのは電圧(電位)の情報だけ
- 入力側からオペアンプはエネルギー(電力)をもらわない
- 出力端子の電流・電圧(=電力)は、**外部電源(正負の電源ピン)**から供給される
flowchart TB subgraph 入力側 Vs[入力信号 Vs<br/>電圧情報のみ] Rd[入力インピーダンス Rd≈∞<br/>電流ほぼゼロ] end subgraph オペアンプ本体 OP[差動増幅 K] PWR[外部電源 V+ / V-] end subgraph 出力側 Vo[出力 Vo<br/>電力を外部へ] Load[負荷] end Vs --> Rd --> OP PWR -.供給.-> OP OP --> Vo --> Load
水のアナロジー
- ダムの放流路 … 入力信号
- 仮想接地・減算点 … 反転入力が 0V に見える点()
- 帰還ネットワーク … 出力の一部を戻す(流れ抵抗が大きい経路)
- 三角形の増幅器 … オペアンプ本体
- 出力シンク … 増幅結果 が外へ出る
- 地下水(0V) … グランド
「入力は水位差の情報だけ読む。実際に水を押し出す力は、別の水源(電源)から来る」イメージ。
反転増幅回路と仮想接地
flowchart LR Vin[v_in] --> Ri[R_i] Ri --> VG((仮想接地<br/>0V)) VG --> OP[オペアンプ - 入力] OP --> Vout[v_out] Vout --> Rf[R_f] Rf --> VG
仮想接地(Virtual Ground)
実際にはグランドに接続していない端子が、電気的に 0V と同じに見える現象。負帰還により入力端子間の電圧差がほぼゼロだから、反転入力端子は「仮想的に接地」に見える。
電流・電圧の関係:
| 場所 | 左端電圧 | 右端電圧 | 電流 |
|---|---|---|---|
- オペアンプ入力端子に電流は流れない → はすべて 側へ
- ノードで より:
回路全体のゲイン:
回路のポイント
- 入力端子間の電圧差はゼロ(仮想短絡)
- オペアンプに流入する電流はゼロ(仮想開放)
利用例: オーディオミキサー、D/Aコンバータ、光センサーなど
非反転増幅回路
flowchart LR Vin[v_in] --> OP["オペアンプ + 入力"] Vout[v_out] --> Rf[R_f] Rf --> RS["R_s"] RS --> GND[GND] Rf --> VG["(-)端子"] OP --> Vout OP -.->|仮想短絡| VG
非反転増幅回路の特徴: 入力信号を(+)端子に入力し、(-)端子には出力側からフィードバック回路を繋ぐ。反転増幅回路と比べて位相反転しない(出力が正の値になる)。
ポイント2から:
ポイント1から:
抵抗 に流れる電流:
ポイント2から 側に流入する電流は0なので:
∴ オペアンプ出力の式:
反転増幅回路との違い
反転増幅 非反転増幅 入力端子 (-)端子 (+)端子 ゲイン (位相反転) (位相反転なし) ゲインの範囲 0以下〜 1以上〜
非反転増幅回路の利用例
- 入力インピーダンスが無限大のため、微弱な入力信号に全く負担をかけずに増幅可能
- 例:圧電センサ、熱電対、ボルテージフォロアなど
ボルテージフォロア
非反転増幅回路の特殊ケース。、 とすると:
flowchart LR Vin[v_in] --> OP["オペアンプ + 入力"] OP --> Vout[v_out] Vout -.->|直接フィードバック| OP
ボルテージフォロアの意味:
- 位相変換も増幅もない(ゲイン = 1倍 = 0dB)
- 信号をそのままスルーさせる
なぜ必要なのか:
- 計測器側が入力信号の電流を消費してしまうと、微弱な信号源では電圧そのものが低下し、正確な計測ができなくなる
- ボルテージフォロアを挟むことで、入力インピーダンスが無限大(電流を一切吸わない)のため、元の電圧信号を変化させることなく100%正確にキャッチできる
- 出力からは全く同じ電圧のまま、後ろの回路を動かすための十分な電流を出力できる
インピーダンス変換
入力抵抗 → 理想的に無限大へ
出力抵抗 → 理想的にゼロへ「電圧の情報だけ受け取って、電流能力だけ変換する」回路
差動増幅回路
flowchart LR V1[v_1] --> Ri1[R_i] Ri1 --> VG["(-)端子 v⁻"] VG --> OP[オペアンプ] OP --> Vout[v_out] Vout --> Rf[R_f] Rf --> VG V2[v_2] --> Ri2[R_i] Ri2 --> VG2["(+)端子 v⁺"] Ri2 --> Rf2[R_f] Rf2 --> GND[GND]
(+)端子側に注目:
オペアンプの(+)端子には電流が流れ込まないため、入力電圧 から入ってきた電流は、そのまま抵抗 と を通ってグランドへ流れる。分圧器として:
(-)端子側に注目:
(-)端子にも電流は流れ込まないため、 から抵抗 を通って(-)端子にやってきた電流は、すべてそのまま抵抗 を通って出力へと流れる。キルヒホッフの電流法則((-)端子に流れ込む電流の合計 = 0):
仮想短絡より :
特殊ケース: のとき
⇒ 減算回路 になる。2つの入力信号の差分だけを取り出す回路。
利用例
高速デジタル通信の受信部(USB、HDMI、PCI Express、LANケーブルなど)
反転加算回路
flowchart LR V1[v_1] --> R1[R_1] R1 --> VG["(-)端子 0V"] V2[v_2] --> R2[R_2] R2 --> VG VG --> OP[オペアンプ] OP --> Vout[v_out] Vout --> Rf[R_f] Rf --> VG GND["(+)端子 GND"] --> OP
ポイント: (+)端子は直接グランド(0V)に接続されている。仮想接地の働きにより、(-)端子の電圧 も 0V に保たれる。
各入力から流れ込む電流:
(-)端子には電流が流れ込まないため、 と はすべて合流し を通って出力端子へ流れる:
出力電圧:
特殊ケース: のとき
⇒ 加算回路 になる。
ポイント
- 仮想接地のおかげで の電流と の電流がお互いのルートに逆流して干渉し合わない
- ⇒ ミキサー(音声の混ぜ合わせ)などに利用
反転積分回路
flowchart LR Vin[v_in] --> R[R] R --> VG["(-)端子 0V"] VG --> OP[オペアンプ] OP --> Vout[v_out] Vout --> C[C] C --> VG GND["(+)端子 GND"] --> OP
ポイント: (+)端子が直接グランドに接続されているため、(-)端子の電圧も 0V(仮想接地)。
入力電圧 から抵抗 を通って(-)端子に向かう電流:
(-)端子には電流が流れ込まないため、入力からやってきた電流 はすべてコンデンサ の方へ流れる:
コンデンサの電圧-電流関係より:
積分回路の意味
出力は入力の時間積分(反転付き)。
- 入力が一定の直流なら、出力は時間に比例して直線的に変化(ランプ波になる)
- 入力が正弦波なら、出力はコサイン波(90度位相遅れ)
利用例
波形変換(矩形波→三角波)、アナログ計算、PLL(位相同期ループ)など
反転微分回路
flowchart LR Vin[v_in] --> C[C] C --> VG["(-)端子 0V"] VG --> OP[オペアンプ] OP --> Vout[v_out] Vout --> R[R] R --> VG GND["(+)端子 GND"] --> OP
ポイント: (+)端子が接地されているため、(-)端子の電圧は 0V(仮想接地)。
入力電圧 からコンデンサ を通って(-)端子へ流れる電流:
コンデンサの電流は、両端の電圧の時間変化率(微分)に容量を掛けたもの。右側は0Vに固定されているため:
(-)端子には電流が流れ込まないため、コンデンサから の方へ流れる:
出力端子から(-)端子(0V)に向かって抵抗 を流れる電流 をオームの法則で表すと:
微分回路の意味
出力は入力の時間微分(反転付き)。
- 入力が線形に変化(ランプ波)なら、出力は定数(階段状)
- 入力が正弦波なら、出力はコサイン波(90度位相進み)
積分回路との対比
積分回路 微分回路 入力側 抵抗 コンデンサ フィードバック側 コンデンサ 抵抗 出力 周波数特性 高周波を減衰(ローパス) 低周波を減衰(ハイパス)
積分回路の周波数特性
実際の積分回路では、フィードバックに抵抗 を並列に繋ぐ。
flowchart LR Vin[v_s] --> R[R] R --> VG["(-)端子 0V"] VG --> OP[オペアンプ] OP --> Vout[v_o] Vout --> C2[C] C2 --> VG Vout --> r[r] r --> VG GND["(+)端子 GND"] --> OP
低周波(または直流)の場合:
- コンデンサ は電流を通しにくくなり、直流では断線とみなせる
- 電流 は主に抵抗 を通って流れる
- このときの出力は → 通常の反転増幅回路として動作
高周波の場合:
- コンデンサ は電流を通しやすくなる(導線に近づく)
- 電流 は抵抗 ではなくコンデンサ の方を優先して流れる
- コンデンサに電流が流れると、電荷が蓄積されていく(積分される)
- 周波数が高くなればなるほど、出力電圧 の大きさは減少(減衰)する
Bodeプロットの特徴
- 低周波域:ゲイン一定( dB)
- _cutoff周波数 を境に、-20dB/dec(-6dB/oct)の勾配で減衰
- 理想的な積分器として動作する領域:
積分回路として使う条件
(フィードバック回路側の時定数が入力側より十分大きい)
のとき、回路はきれいな積分回路として動作する。
微分回路の周波数特性
実際の微分回路では、入力側に抵抗 を直列に繋ぐ。
flowchart LR Vin[v_s] --> r2[r] r2 --> C2[C] C2 --> VG["(-)端子 0V"] VG --> OP[オペアンプ] OP --> Vout[v_o] Vout --> R[R] R --> VG GND["(+)端子 GND"] --> OP
低周波(または直流)の場合:
- コンデンサ は直流を通さないため、入力側が断線した状態
- 電流 が流れないため、出力電圧 は 0V
- 低い周波数の信号は遮断される
高周波の場合:
- コンデンサ は導線に近づき無視できる
- 入力側のインピーダンスは抵抗 だけになり、回路全体としては通常の反転増幅回路として動作
- 出力は → 一定の増幅率(直流利得に相当する高周波ゲイン)を持つ
Bodeプロットの特徴
- 高周波域:ゲイン一定( dB)
- _cutoff周波数 を境に、+20dB/dec(+6dB/oct)の勾配で増加
- 理想的な微分器として動作する領域:
微分回路として使う条件
(入力側の時定数がフィードバック側より十分小さい)
のとき、回路はきれいな微分回路として動作する。
積分回路・微分回路のまとめ
| 積分回路 | 微分回路 | |
|---|---|---|
| 入力側 | 抵抗 | (直列) |
| フィードバック側 | 抵抗 | |
| 低周波 | 反転増幅(ゲイン一定) | 遮断(出力 ≒ 0) |
| 高周波 | 減衰(-20dB/dec) | 反転増幅(ゲイン一定) |
| 動作条件 | ||
| 用途 | 波形変換、アナログ計算 | エッジ検出、高速通信 |